にきび
ニキビは中高生に多いのですが、小学校高学年のお子さんにも時にみられ、40~50%の方は20歳以降も続きます。かつては青春のシンボルとも呼ばれ、成長に伴う当たり前のものと捉えられえていました。しかし患者さんの悩みは深く、特に思春期の方では、「ニキビのことで頭がいっぱい」になることも少なくありません。また、悪化するとニキビ痕(あと)が残ることになりますので、早めの手当てが必要です。
皮膚のあぶら
さて皮膚の表面には、皮脂膜(ひしまく)という脂(あぶら)が主体の膜が張っていて、皮膚を健康な状態に保っています。この脂は毛穴にある皮脂腺(ひしせん)から分泌されているのですが、この皮脂腺は顔や胸、背中などニキビができやすい部位で発達しています。参考までに、脂とは常温で固体のものをいい、主に動物性です。油とは常温で液体、主に植物性ないし鉱物性です。余談でした。
白ニキビ
思春期などで性ホルモンが多くなると、皮脂の分泌が増加するのですが、毛穴が詰まると皮脂が毛穴に貯まるため、小さく盛り上がります。これが面皰(めんぽう)です。白ニキビとも呼ばれます。毛穴が詰まるのは、汚れているからではありません。毛穴をトンネルと考えると、そのトンネルの壁が厚くなれば内腔は細くなり、ついには詰まってしまうということです。毛穴の壁である皮膚が厚くなるわけですね。
赤ニキビ
毛穴には、アクネ菌(アクネとは、ニキビのことです)という細菌が、赤ちゃんの頃から住んでいます。この菌は脂を食べ、また空気のない状態を好みますので、毛穴が詰まった面皰は増殖に適しています。増殖したアクネ菌により炎症が起こり、赤く腫れたものが赤ニキビです。ニキビの患者さんは、この赤ニキビを気にすることが多いのですが、元である白ニキビが重要であることを忘れないでください。
更に炎症が進行すると、毛穴の壁が壊れて、嚢腫 (のうしゅ)という膿が貯まった袋になって赤く大きく腫れたり、硬いしこりになったりします。時間が経つと、デコボコしたニキビ痕を残すことになります。
生活上の注意
以前は、ニキビができると「甘いものを食べるな」とか、「不潔にしているからだ」とか言われていました。現在は、食事の内容とニキビが関係するとは考えられていません。また、顔をよく洗えばニキビができないわけでもありません。もちろんバランスの良い食事や、じゅうぶんな睡眠は健康のために必要ですし、1日2回の洗顔も一般に推奨されています。化粧品や日焼け止めには毛穴を詰めるものもあるため、「ノンコメドジェニック」(ノンは、否定。コメドは、面皰。ジェニックは、作るという意味です)と書かれているものをお選びください。
治療
ニキビの治療に関しては、赤ニキビと白ニキビで分けて考えてください。赤ニキビに対しては、アクネ菌の増殖を抑える薬が主体になります。内服薬(のみ薬)や外用薬(ぬり薬)があります。白ニキビに対しては、毛穴の詰まりを除く外用薬が主に使われます。外用薬には毛穴の詰まりを除く他に、ニキビ菌の増殖を抑える作用を持つ製品もあります。また毛穴の詰まりを除くだけでも、毛穴に空気が入るため、ニキビ菌の繁殖を妨げる効果があります。薬剤のほかに、特殊な器具(面皰圧子)を使って毛穴を広げ、中の脂を出す処置もあります。残念ながら、ニキビの治療には少し時間がかかります。2週間しっかり治療すると効果が実感できる場合が多いのですが、赤ニキビがほとんど無くなるのには3か月程度、白ニキビもできないようにしてスベスベお肌になるには、半年~1年くらいを目安に考えて下さい。当院でも以前はケミカルピーリングという処置を行っており、効果はありましたが、健康保険が使えず、また保険のきく良い薬も次々と登場したので、現在は行っておりません。
「にきび」って、自分で治すんじゃないの?、という日本痤瘡研究会が作ったパンフレットがあります。痤瘡(ざそう)というのは、ニキビのことです。漫画ですので、小学生~高校生にお勧します。