帯状疱疹予防のワクチン
帯状疱疹は痛みの強い病気として知られていますが、皮膚だけでなく目などにも病変がおよぶ場合があります。また特に60歳以上の方では、帯状疱疹後神経痛という痛みが、何年も続くことがあります。帯状疱疹の発症や重症化の予防は、水ぼうそうのウイルスに対する免疫を強くすれば可能になります。その手段としてワクチン接種があります。当院でも接種を行っていますが、通常の診療予約とは別に、ワクチン接種の予約が必要です。
葛飾区では、令和7年4月から対象の方に定期予防接種がはじまりました。なお令和5年から行われている助成制度は、令和8年3月で終了となる予定です。
2種類のワクチンがあります
帯状疱疹ワクチンには、「弱毒生水痘ワクチン」と、「シングリックス®」の2種類があります。水痘とは水ぼうそうのことで、「弱毒生水痘ワクチン」は以前からお子さんに接種されている水痘ワクチンと同じものです。比較する表をごらんください。
弱毒生水痘ワクチン | シングリックス® | |
---|---|---|
対象となる方 | 50歳以上 |
50歳以上 18歳以上で免疫不全などにより帯状疱疹のリスクが高い人も |
帯状疱疹の発症を予防する効果 | 50%くらい | 90%以上 |
帯状疱疹後神経痛を予防する効果 | 65%くらい | 90%くらい |
70歳以上での効果 | 低くなる | あまり変わらない |
効果の持続期間(めやす) | 5年 | 10年 |
注射する回数 | 1回 | 2回(2か月~6か月間隔) |
費用(税込み) | 8千円 定期接種の方は無料 助成対象の方は4千円 | 2回で、4万円 定期接種の方は無料 助成対象の方は2万円 |
副反応 | 少なくて軽い | 比較的多い |
注射部位の副反応 | 痛み(15%)、腫れ(14%)など | 痛み(90%)、腫れ(65%)など |
全身的な副反応 | 発熱(24%)、筋肉痛(54%)など | |
ワクチンの種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
接種できない方 |
病気や薬などで免疫が低下している人 新型コロナワクチン接種前後の2週間 |
新型コロナワクチン接種前後の2週間 |
注射する部位 | 皮下 | 筋肉(三角筋) |
どちらを選びますか?
効果は「シングリックス®」の方が高いのですが、新型コロナワクチンのような筋肉痛や関節痛、疲労感などの副反応がある、2回の接種が必要、費用が高いなどの問題点があります。逆に「弱毒生水痘ワクチン」は、1回の接種で済み、副反応はあまり無く、費用も比較的安いのですが、効果が高いとはいえないのが難点です。どちらを選ぶか悩ましいところですが、60歳未満など比較的若く、何となく心配だから取りあえず接種を受けたいという方は、弱毒生水痘ワクチン。身近に帯状疱疹でつらい思いをしている方がいるなど、高齢で高い効果を長期に望まれる方は、シングリックス®が良いと思います。なお両方とも対象年齢が50歳以上でしたが、シングリックス®は2023年6月に、免疫不全などにより帯状疱疹の発症リスクが高い18歳以上の人にも、対象が拡大されました。
葛飾区が実施する定期予防接種について
対象は以下の①②③④の方で、葛飾区から4月頃に予診票が郵送されます。
①65歳の方(4月~翌年3月に、その年齢の誕生日をむかえる方)
②70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳の方(4月~翌年3月に、その年齢の誕生日をむかえる方)
③101歳以上の方(4月~翌年3月に、その年齢の誕生日をむかえる方)
④60~64歳で、免疫不全による機能障害が身体障害者手帳1級相当、かつ接種を希望される方
料金は、令和12年3月までは無料ですが、12年4月以降は自己負担が発生する見込みです。
なお②は令和12年3月で終了、③は令和8年3月で終了の見込みですので、将来的には①④の方だけが対象になりそうです。
また、過去に葛飾区の助成による帯状疱疹ワクチンの接種を終えたかたは、定期接種の対象外になります。50歳以上で①②③④以外のかた(66歳など)が、早めに接種を受けたい場合は、令和8年3月までに区の助成制度を利用するのが良いと思います。定期接種をご希望のかたは、対象年齢になるまでお待ちください。
予約と予診票
当院の診察券をお持ちの方は、電話でもご予約頂けます。ご来院の際に予約して頂いても結構です。
新型コロナワクチンと同様に、予診票をお書きいただきます。「弱毒生水痘ワクチン」と「シングリックス®」で予診票が違いますので、ご留意ください。。
葛飾区が行う定期予防接種の場合など、すでに予診票をお持ちの方は、ご記入のうえ接種当日に持参してください。
区の助成制度を利用する場合などで、予診票をお持ちでない方は、接種を希望されるワクチンの予診票を下から選び、ご自分で印刷して記入をお願いします。当院にも予診票を用意してありますので、ご来院の際にお渡しすることもできます。