口なめ病
口なめ病とは
主に乾燥した冬の季節に、口の周りが赤くカサカサし、ヒリヒリと痛痒くなる病気です。皮膚が割れてしまうこともあります。唇(くちびる)の上下に見られることもありますし、下だけ、場合によっては上だけのこともあります。「なめまわし皮膚炎」とも呼ばれます。
幼児から小学校低学年くらいのお子さんに多く、唇や口の周りの皮膚を、舌で繰り返しなめたり、上唇で下唇をなめたりすることが原因とされています。舌や上唇の届く範囲だけに症状がみられるのが特徴です。
原因
皮膚の表面は、毛穴から分泌される皮脂(ひし)と汗などが混ざって作られる皮脂膜に覆われており、これが天然の保湿剤のような役割をし、皮膚の水分が適度に保たれています。唇には毛穴がないため皮脂膜も乏しく、乾燥に弱いのです。冬には外気だけでなく、暖房により室内も乾燥しています。乾燥した唇を湿らそうとして、なめることを繰り返すと、口周囲の皮膚にある皮脂膜を取ることになり、かえって乾燥が進みます。また消化液である唾液自体にも刺激性があるので、湿疹が起こります。ヒリヒリとした不快感をやわらげようとして、無意識になめることを繰り返し、悪循環におちいることになります。
手のひらや手の甲を使って、唾液を口の周囲に伸ばすことを繰り返し、口の横側などに赤くカサカサした湿疹が生じているお子さんもいます。これは唇の乾燥を防ぐというより、癖になっているためだと思われます。
治療
口なめ病は、湿疹としては軽いことが多いので、治療もそれほど難しくありません。弱いステロイド外用剤を使うと、短期間で落ち着きます。ただし、なめるという習慣を断つ必要があります。なめないようにとお子さんを叱っても、なかなか言うことを聞いてくれません。唇と口の周りを保湿して、乾燥による不快感をなくしてあげることが重要です。
ただし、口の周りの湿疹だからといって、口なめ病とは限りません。リップクリームや歯磨き粉、食べ物によるかぶれの場合も少なくありません。口の中にいるカビの一種であるカンジダが、口の周りに増えていることもありますので、ご注意ください。