メニュー

いぼ

「いぼ」という言葉は医学的な病名ではなく、皮膚の表面から盛り上がる小さなできものに対して用いられる俗称です。患者さんが「いぼ」と考えているものの中には、いろいろな皮膚病が含まれています。最も多いのはウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)の感染でできるウイルス性疣贅、特に「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」と呼ばれるものです。尋常性という言葉は「普通の」、疣贅は「いぼ」という意味です。この項では、尋常性疣贅について説明します。なお、一般に「みずいぼ」と呼ばれている病気がありますが、全く別の病気です。

 

症状

 直径数mmから1 cmくらいの少し盛り上がったしこりで、やや硬く、表面はザラザラしています。初めは小さなものが1つだけのことが多いのですが、徐々に大きくなり、自分の皮膚にうつって10個以上に増えてから受診する方もいます。手足に多い病気ですが、皮膚のどこにでも見られます。足の裏にできた場合は、体重がかかるため外側ではなく皮膚の内側に広がり、ほとんど盛り上がらない形になります。どの年齢の方にもみられるのですが、子供に多い傾向があります。うおのめに似ているのですが、痛みが無いことが多いため、ご自分で様子を見ているうちに、大きくなったり増えたりします。お子さんの足にうおのめができたと言って来院される場合、ほとんどはこの病気です。

うつる病気です

 この病気は、人間の皮膚から人間の皮膚へうつります。主な感染経路は直接の接触によるものですが、プールや入浴施設、脱衣場の床などを介する間接的な接触による場合もあります。正常な皮膚には感染しにくいのですが、ササクレなどの小さな傷があると、ウイルスが侵入して皮膚の細胞に感染します。手あれや靴ずれ、ひげ剃りやプールサイドなどを素足で走ってできた目に見えない小さな傷からも感染します。ウイルスが皮膚に感染してから「いぼ」として確認できる大きさになるのにかかる時間(潜伏期間)はケースによってさまざまですが、一般に3か月~6か月程度と考えられています。感染する力は弱いのですが、家族やクラブ活動の仲間など身近な人にうつしてしまう危険がありますので、足にできている場合は、自宅でも靴下をはいている方が良いと思います。手にできている場合は、なるべく他の人の皮膚に触らないようにしてください。

治療

 残念ながら、「いぼ」の治療には根気が必要です。液体窒素で治療するのが、一般的です。液体窒素とは、空気中に気体として存在している窒素を液体にしたもので、マイナス196度くらいの非常に冷たいものです。この液体窒素を綿棒などに含ませて「いぼ」につけることにより瞬間的に凍らせたあと、ご自分の体温で溶かすということを繰り返して、「いぼ」の組織を破壊することを目的としています。しかし、残念ながら1回の治療で治ることはめったになく、週に1回治療しても治るまでに半年以上かかることが多いのが実情です。治りが悪い場合は、他の治療を同時に行ったり、別の治療に切り替えたりします。サリチル酸製剤やモノクロロ酢酸の外用、ヨクイニンの内服、電気メスやレーザーによる焼灼などが行われますが、効果が人によって違い、健康保険が使えない治療法が多いのが難点です。「いぼ」の治療は厄介なのですが、大きなものほど、数が多いほど治療に時間が掛かる傾向があるので、早めに治療を始めましょう。

液体窒素による治療は痛みを伴うため、特に小さなお子さんに対しては、液体窒素の使用量を最小限にし、痛みの少ない薬剤を主体とする処置も行っています。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME