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アタマジラミ

アタマジラミは、人間の髪の毛に寄生するシラミです。人から人にうつるため、保育園や小学校などでの集団発生や家庭内感染が時々におこります。ウイルスなどを媒介する虫ではないので、怖がる必要はありません。また不潔が原因でうつるわけではないことをご理解ください。アタマジラミ症は、診断も治療も皆様がご自分たちでして頂ける病気ですので、少しくわしくご説明します。

 

どんな虫?

アタマジラミは、体長2~3mmで細長い褐色の虫です。髪の毛にしがみつき、頭皮から血を吸って生きています。吸血の際に、痛みは感じません。寿命は1ヶ月ほどで、メスは一生の間に100個くらいの卵を、髪の毛に産み付けます。卵は約1週間でふ化し、卵から出た幼虫は10~14日で成虫となります。

 

うつる経路は?

アタマジラミは髪の毛から離れることは基本的になく、飛んだり跳ねたりもしませんので、感染は髪の毛が触れあうことでおこります。ただし、帽子やタオルなどの貸し借りや、クシやブラシの共有でうつる場合もあります。

集団での昼寝の際や遊んでいるあいだに、髪の毛が触れ合う機会のある、幼稚園・保育園児と小学校低学年のお子さんに多いことが分かっています。

プールなどの水を介して、うつることはありません。また人間にしか寄生しないので、ペットに関して心配する必要はありません。

 

症状は?

アタマジラミが寄生しても、しばらくは症状がありません。1ヶ月以上してから、頭にかゆみを感じるようになります。蚊などでもそうですが、血を吸う際に注入される唾液に対するアレルギーによって、かゆくなります。スギの花粉を春ごとに何年も吸いつづけることで鼻炎を起こすのと同様、多数のアタマジラミに繰り返し吸血されることで、アレルギーが生じるわけです。引っかくことでできた傷に細菌が感染すると、痛くなることもあります。痒みが強い場合や、痛みを感じた際は、受診してください。

 

見つけ方は?

アタマジラミは目で見える大きさですが、動きが素早く髪の毛の中に隠れているので、数が多くないと虫自体を見つけるのは困難です。そのため、卵を確認することで診断される場合がほとんどです。卵は0.5mmくらいの大きさで、髪の毛にしっかり固定されており、フケと違って簡単には取れません。ふ化前の卵は褐色ですが、幼虫が出ていき空になると、白っぽく見えます。卵は髪の毛の根本から5~10mmくらいの所に産みつけられ、約1週間でふ化するのですが、髪は1週間で2mmしか伸びないため、見つけられる卵の多くは抜けがらです。

アタマジラミの卵と見分けるのが難しいものに、ヘアキャストがあります。これは毛穴の皮膚表面がはがれてチクワのような円筒形になり、髪の毛の周りにくっついたもので、簡単には取れません。白っぽい色で、大きさも卵に似ています。

お子さんの髪の毛についた卵は、おとなが見つけてあげられますが、気をつけなければならないのが保育士の方やご両親です。症状がなくても虫がうつっていることが少なくないため、特にお母様はご注意ください。   

アタマジラミかどうか心配な場合は、ご来院ください。顕微鏡で観察すれば、卵かどうかは簡単に見分けられます。ただし受診する際は、卵を自分たちで除去しないようお願いします。

 

治療は?

アタマジラミの治療には、薬剤を用いる方法が2つと、専用のクシなどで虫や卵を取り除く方法があります。残念ながら健康保険が使える医療用の製品はなく、薬局などで購入して使用することになります。

(1)フェノトリン

代表的な商品はスミスリンLシャンプータイプ®です。

パウダータイプもありますが、使いやすいのはシャンプータイプです。適切な使用により成虫や幼虫は死滅しますが、卵には効果がありません。卵からふ化した幼虫が、成長して産卵するまでの間に殺虫する必要があるため、3日に1回、合計3~4回使用することになります。ただし、この薬剤で死滅しないアタマジラミが5~10%(沖縄県では90%以上)いることが知られています。使用方法は、こちらをご覧ください。

 

(2)ジメチコン

2021年に発売された駆除剤で、商品名はアースシラミとりローション®といいます。(webサイトに、使用方法のYouTubeも載っています)

虫や卵を包みこんで、呼吸ができなくする、水分の排出ができなくすることで駆除します。2~3日おきに、3回使用します。フェノトリンとは全く作用が違うため、フェノトリンの効果がない例にも、有効とされています。

どちらの製品も、1本(1~2人分)の実売価格が2000円~3000円ですので、家計にはご負担ですね。

 

(3)専用の「すきグシ」による駆除

製品としては、全米シラミ症協会が開発した「ライスマイスター®」が有名です。ネット等で購入できますが、これも2000円以上するようです。クシの目の隙間が非常に細く、虫や卵が取れるとされています。手間のかかる処置を5~7日間続ける必要があるのですが、1本のクシをご家族で使用できるのが利点です。使用方法は、こちらをご覧ください。

 

なお、髪を短くする場合、3mm以下の丸坊主にしないと効果はありません。

しっかり治療を行ったあと、1週間たっても新たに虫や卵が見つからなければ、駆除が完了したと判断します。ただし、お友達やご家族から再びうつる可能性もあるため、注意が必要です。

 

生活上の注意は?

ご家族同士でうつしっこしないため、クシやブラシ、帽子のほか、衣類や寝具は共用しないでください。添い寝にも、注意が必要です。

アタマジラミは高温に弱いので、アタマジラミの見つかった人が使用した枕カバー、シーツ、頭を拭いたタオルなどは、熱処理をしてから洗濯してください。具体的には、60度以上のお湯に5分以上ひたす、あるいはアイロンや衣類乾燥機にかけることが勧められています。人間の頭から離れると3日程度しか生きられませんので、熱処理が難しい場合は、ビニール袋に入れて数日~1週間放置すれば良いとされています。

ご自宅や施設を殺虫処理する必要はありません。

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