多汗症(たかんしょう)
汗が多くて、日常生活に支障がでる状態です。 糖尿病や甲状腺機能亢進症などで全身の汗の量が増える全身性多汗症と、体の一部だけ汗が多く出る局所性多汗症があります。 ここでは後者のうち、お困りの方が多い掌蹠(しょうせき)多汗症と腋窩(えきか)多汗症についてご説明します。
掌蹠多汗症
掌蹠多汗症では、掌(手のひら)と蹠(足の裏)の汗が多くなります。 手のひらや足の裏では、精神的な緊張により汗がでます。 精神的発汗とよばれています。 暑くて顔や背中には汗をかいているのに、手のひらは乾いているといったことがよくあります。 敵に襲われたサルなどが急いで木に登る際、手のひらや足の裏の汗が滑り止めとして役に立ちます。 掌蹠多汗症は若い方に多く、学校でのテストの際に用紙が汗で濡れて困るなどの理由で来院されます。 日常生活での改善は難しく、塩化アルミニウム水溶液を手足にぬることが一般的な治療法です。 他にもイオントフォレーシス、抗コリン剤の内服、ボツリヌス毒素の注射、手術(胸部神経遮断術)などの治療もありますが、副作用や費用などの問題があり当院では行っておりません。 効果の高い外用剤(ぬり薬)が開発中のようで、期待しております。
腋窩多汗症
腋窩多汗症では、わきの下(腋窩)の汗が多くなります。 女性が8割を占め、シャツが濡れてしみになり、特に夏などは恥ずかしいなどの理由で来院されます。 わきの下の汗は、掌蹠とは違い、主に暑い環境で体温を下げることが役割です。 温熱性発汗とよばれています。 治療としては、塩化アルミニウム水溶液のほか、神経から汗腺(皮膚の下にある汗を作る器官)に伝えられる指令をブロックする外用剤(ぬり薬)が2つ登場しています。 どちらも根治療法ではなく、治療している間だけ効果を発揮するので、わきの下の汗が問題となる季節だけ治療しても良いでしょう。